この『絶塞伝烽録』では、いよいよ楊炎の濡れ衣がはらされていきます。
また、回彊への侵略をつよめる清軍は、反政府の義士と各部族の連合によって打ち破られ、楊炎の実父の楊牧は己の最後が長くはないことを悟って、自らの命を犠牲にして楊炎を助けるのでした。
天山派へ奇襲をかけた邪派の白駝山主・宇文博は齊世杰や楊炎によってたおされ、宇文博にとらわれの身となっていた冷冰儿も救い出されたのでしたが、その彼女はすでに尼になる決意をしていたのでした。
さて、楊炎は龍霊珠をつれて龍則霊のもとに帰ったのですが、龍則霊の寿命が尽きるまえの遺言として龍霊珠の一生を託されるのでした‥・・。
2009年1月25日日曜日
弾指驚雷 (2)
物語の後半は、楊炎に焦点があてられて話がすすんでいきます。
楊炎は、チベットまで拉致されてきたこころで、龍則霊に助けられ彼の弟子となって成長していたのであった。しかし中原に戻ってきた楊炎は、冷氷儿と再開するが、誤解と行き違いから天山派から追われる身になってしまうのである。
また、実の父・楊牧が朝廷の手先となっていたことも、彼に屈折した陰を落としていく。さらに、龍則霊の孫娘である龍霊珠との出会いも冷氷儿との間で、複雑な恋愛感情をかもしだしていくことになる。
ともあれ、『弾指驚雷』では、楊炎がこれでもかこれでもかといった具合に、すれ違いと誤解から、奈落の底へと落とされていってしまうのだ。
こうした楊炎にたいして、養父である繆長風、雲紫蘿の子供であるがゆえに楊炎を自分の子とする孟元超、そして弟として楊炎をかばう冷氷儿の三人は、あくまでも彼の味方であるのだが…。
楊炎は、チベットまで拉致されてきたこころで、龍則霊に助けられ彼の弟子となって成長していたのであった。しかし中原に戻ってきた楊炎は、冷氷儿と再開するが、誤解と行き違いから天山派から追われる身になってしまうのである。
また、実の父・楊牧が朝廷の手先となっていたことも、彼に屈折した陰を落としていく。さらに、龍則霊の孫娘である龍霊珠との出会いも冷氷儿との間で、複雑な恋愛感情をかもしだしていくことになる。
ともあれ、『弾指驚雷』では、楊炎がこれでもかこれでもかといった具合に、すれ違いと誤解から、奈落の底へと落とされていってしまうのだ。
こうした楊炎にたいして、養父である繆長風、雲紫蘿の子供であるがゆえに楊炎を自分の子とする孟元超、そして弟として楊炎をかばう冷氷儿の三人は、あくまでも彼の味方であるのだが…。
2009年1月10日土曜日
2008年12月28日日曜日
牧野流星
『游剣江湖』の続編の『牧野流星』は、前者と同じくらいの長編ですが、内容はうって変わって本来の武侠小説らしくなってきて、一挙に読ませるものがあります。 『江湖三女侠』のときも感じたのですが、梁羽生は悲恋ものに力を入れるとどうもそちらに足をすくわれ、武侠小説としての物語展開や内容にやや乱れがでるような気がします。
この『牧野流星』の主人公は、『游剣江湖』の二人の主人公である孟元超と雲紫蘿の息子・楊華=孟華です。物語は、楊華が三番目の師父・丹丘生から崆峒派の武芸を伝授され、さらには天山派の開祖ともいえる張丹楓の秘伝書を偶然発見し、さらには二番目の師父・段仇世から孟家の「快刀法」の秘伝書を渡され、それらの武術を身につけとてつもなく腕が立つ青年に生長していく過程が最大のみどころとなります。
さらには、金逐流の娘・金碧漪との出会と恋、実の父孟元超との対面、丹丘生の冤罪を晴らし御林軍統領・海蘭察の野望を打ち砕き彼を打倒するなど、物語の展開も手に汗を握るテンポで進んでいきます。
そして最後は回疆の各部族と反清の義士たちの連合で、清の大軍とのたたかいに勝利するところで物語は終わるのですが、この戦いのなかで孟華の異父弟の楊炎が行方不明になってしまい物語は次の『弾指驚雷』へと引き継がれていきます。
(注) 日本語では表記できない字は、しかたなく簡体字で表示してあります。「崆峒派」、「金碧漪」などです。
この『牧野流星』の主人公は、『游剣江湖』の二人の主人公である孟元超と雲紫蘿の息子・楊華=孟華です。物語は、楊華が三番目の師父・丹丘生から崆峒派の武芸を伝授され、さらには天山派の開祖ともいえる張丹楓の秘伝書を偶然発見し、さらには二番目の師父・段仇世から孟家の「快刀法」の秘伝書を渡され、それらの武術を身につけとてつもなく腕が立つ青年に生長していく過程が最大のみどころとなります。
さらには、金逐流の娘・金碧漪との出会と恋、実の父孟元超との対面、丹丘生の冤罪を晴らし御林軍統領・海蘭察の野望を打ち砕き彼を打倒するなど、物語の展開も手に汗を握るテンポで進んでいきます。
そして最後は回疆の各部族と反清の義士たちの連合で、清の大軍とのたたかいに勝利するところで物語は終わるのですが、この戦いのなかで孟華の異父弟の楊炎が行方不明になってしまい物語は次の『弾指驚雷』へと引き継がれていきます。
(注) 日本語では表記できない字は、しかたなく簡体字で表示してあります。「崆峒派」、「金碧漪」などです。
2008年12月7日日曜日
游剣江湖
結論から言うと、この作品は長い割にはあまり面白くありません。武侠小説というより悲恋小説といった方がぴったりで、天山派の活躍を期待している読者にとっては、まったくの期待はずれといわなければなりません。しかも、同じような顔ぶれの登場人物が「あっちで小競り合い、こっちで小競り合い」といった感じで、ストーリー展開上も面白さがありません。
『雲海玉弓縁』、『冰河洗剣録』、『風雷震九州』、『侠骨丹心』と続いてきた作品群がかなりよっかたので、これも楽しめるかなと思ったのですが残念でたまりません。
というわけで、単行本3冊、99万字におよぶこの長編については、これ以上の論評はいたしません。
『雲海玉弓縁』、『冰河洗剣録』、『風雷震九州』、『侠骨丹心』と続いてきた作品群がかなりよっかたので、これも楽しめるかなと思ったのですが残念でたまりません。
というわけで、単行本3冊、99万字におよぶこの長編については、これ以上の論評はいたしません。
2008年10月26日日曜日
余談 『神田川』
YouTubeで、『かぐや姫』の『神田川』を聞いていたら、そこにおもしろい書き込みがありました。『神田川』の歌詞を中国語に訳してあって、その訳がなかなかいいのです。繁体字で書いてあったのですが、ここでは簡体字でそれを紹介したいと思います。中国語フォントがインストールされていれば、文字化けしないで表示されると思います。
神田川
神田川
你已经忘了吧? 我俩把鲜红的手巾围在脖子上,一块去那小巷里的澡堂。
说好一起出来的,可是每次总是我在外面等。
湿漉漉的冰凉冰凉,一小块的肥皂和我一起打着冷颤,你抱着我,说了句:真凉呀。
在我年轻的时侯,根本不知道什么是恐惧。那时候,我只怕你的温柔。
那套二十四色的水彩,你大概已经丢了把? 你要替我画像,我总是叮咛你务必画的好一点,可是每次都不像我。
窗外流淌的是静静的神田川。狭窄的屋子是我小小的天地。
你的眼睛停留在我的指头,你问道:你不高兴吗?
在我年轻的时侯,根本不知道什么是恐惧。那时候,我只怕你的温柔。
2008年10月24日金曜日
侠骨丹心 (2)
『侠骨丹心』のあらすじを、引き続き紹介していくつもりだったのですが、現在『游剣江湖』を読んでいて、『侠骨丹心』のあらすじの紹介はいつになるかわかりません。
『游剣江湖』は、単行本3冊ですから、かなり長編です。 これは余談ですが、中国語を日本語に翻訳すると、分量は1.5倍以上になると思います。「国連決議などを国連の公用語で表示したとき、中国語がいちばん分量が少ない」という様なことを中国人の先生から聞いたことを思い出しました。
したがって、『游剣江湖』を邦訳すれば、たぶん単行本5冊くらいになると思います。そのぶん、中国語は簡潔に表現されていて、武侠小説に最適なのかなあなどとも考えています。
『游剣江湖』は、単行本3冊ですから、かなり長編です。 これは余談ですが、中国語を日本語に翻訳すると、分量は1.5倍以上になると思います。「国連決議などを国連の公用語で表示したとき、中国語がいちばん分量が少ない」という様なことを中国人の先生から聞いたことを思い出しました。
したがって、『游剣江湖』を邦訳すれば、たぶん単行本5冊くらいになると思います。そのぶん、中国語は簡潔に表現されていて、武侠小説に最適なのかなあなどとも考えています。
2008年9月5日金曜日
侠骨丹心 (1)
物語は、「侠骨丹心」へと引き継がれていきます。
この「侠骨丹心」は、最初から波乱にみちた展開となっています。まず、金世遺の息子・金逐流が登場して、華々しい活躍をします。この小説は、冒頭からかなり引きずり込まれました。
江海天の娘・江曉芙と「掌門弟子」・宇文雄との結婚披露宴に紛れ込んで、師父の仇・江海天に一泡吹かせようとたくらむ文道庄と、薄汚い乞食をよそおいこの宴席にもぐりこんだ金逐流が、まっこうから激突する。文道庄の必殺の手から江曉芙を密かに守った金逐流は、江海天に一泡ふかせもって中原にその武功をとどろかせ、師父の恨みを晴らして、さらには朝廷に高く自分を売り込もうとする文道庄を、激闘のすえ破るのであった。
この闘いを目の当たりにして、江海天は金逐流が金世遺の息子であり自分の師弟にあたることを見抜き、同時に文道庄の正体も看破するのであった。じつは、金逐流は、父・金世遺の言付けを持って江海天のもとを訪れたのである。
<中国武侠小説豆知識> 日本の時代小説では、権力の手先のことを「犬」といいますが(例えば、「幕府の犬」と言うように)、中国武侠小説では「鷹犬」といいます。発音は、ying1quan3 です。この小説でも「鷹犬」は何度もでてきます。
この「侠骨丹心」は、最初から波乱にみちた展開となっています。まず、金世遺の息子・金逐流が登場して、華々しい活躍をします。この小説は、冒頭からかなり引きずり込まれました。
江海天の娘・江曉芙と「掌門弟子」・宇文雄との結婚披露宴に紛れ込んで、師父の仇・江海天に一泡吹かせようとたくらむ文道庄と、薄汚い乞食をよそおいこの宴席にもぐりこんだ金逐流が、まっこうから激突する。文道庄の必殺の手から江曉芙を密かに守った金逐流は、江海天に一泡ふかせもって中原にその武功をとどろかせ、師父の恨みを晴らして、さらには朝廷に高く自分を売り込もうとする文道庄を、激闘のすえ破るのであった。
この闘いを目の当たりにして、江海天は金逐流が金世遺の息子であり自分の師弟にあたることを見抜き、同時に文道庄の正体も看破するのであった。じつは、金逐流は、父・金世遺の言付けを持って江海天のもとを訪れたのである。
<中国武侠小説豆知識> 日本の時代小説では、権力の手先のことを「犬」といいますが(例えば、「幕府の犬」と言うように)、中国武侠小説では「鷹犬」といいます。発音は、ying1quan3 です。この小説でも「鷹犬」は何度もでてきます。
2008年8月30日土曜日
風雷震九州
物語は、延々と語り継がれて、『風雷震九州』では、江海天の娘・江曉芙が年頃となる時代へと移っていきます。
『風雷震九州』は簡体字で約74万字で、『 雲海玉弓縁』や『冰河洗剣録』とほぼ同じぐらいの長さですので、かなりの分量があります。
いままで、梁羽生の天山系列を読んできたなかで、この小説は二つの点でその特徴を際だたせていると思います。
一つは、「反清」のテーマを全面に貫いていることです。「七剣下天山」や「江湖三女侠」などでも「反清」は核心的なテーマだったのですが、『 雲海玉弓縁』や『冰河洗剣録』などではこの点は後景に退いていた感があったように感じます。ここに来て、「反清」がふたたび前面に押し出されてきました。抗清組織の幹部の二人の息子が江海天の弟子となって、物語の重要な部分を占めていきます。
もう一つは、物語のはじめからかなり疑惑にみちた男(谷中蓮の兄の息子を騙る葉凌風)を登場させ、一種の謎解き的な手法を使って、物語を展開してゆくという、技巧上の特徴が見受けられます。私は、梁羽生がここで、技巧上のひとつの試行をおこなっているように感じました。
ともあれ、ここでも江海天の弟子たちを中心に、数多くの年若き男女の淡い感情を横糸に、そしてなによりも数々の武術を縦糸にして、物語が織りなされていくのです。
『風雷震九州』は簡体字で約74万字で、『 雲海玉弓縁』や『冰河洗剣録』とほぼ同じぐらいの長さですので、かなりの分量があります。
いままで、梁羽生の天山系列を読んできたなかで、この小説は二つの点でその特徴を際だたせていると思います。
一つは、「反清」のテーマを全面に貫いていることです。「七剣下天山」や「江湖三女侠」などでも「反清」は核心的なテーマだったのですが、『 雲海玉弓縁』や『冰河洗剣録』などではこの点は後景に退いていた感があったように感じます。ここに来て、「反清」がふたたび前面に押し出されてきました。抗清組織の幹部の二人の息子が江海天の弟子となって、物語の重要な部分を占めていきます。
もう一つは、物語のはじめからかなり疑惑にみちた男(谷中蓮の兄の息子を騙る葉凌風)を登場させ、一種の謎解き的な手法を使って、物語を展開してゆくという、技巧上の特徴が見受けられます。私は、梁羽生がここで、技巧上のひとつの試行をおこなっているように感じました。
ともあれ、ここでも江海天の弟子たちを中心に、数多くの年若き男女の淡い感情を横糸に、そしてなによりも数々の武術を縦糸にして、物語が織りなされていくのです。
2008年8月9日土曜日
冰河洗剣録
『 雲海玉弓縁』の続編は、『冰河洗剣録』です。ここでは、江南の息子江海天と、谷之華の養女であり弟子である谷中蓮が物語りの中心になっていきます。そこに、マサア国王の三人の遺児が絡んできて、(三人の内一人は谷中蓮ですが)、国王を殺し王位を簒奪した現国王との闘いがくりひろげられていきます。
江海天は金世遺の弟子となり、さらには偶然にも天心石を3個も飲んだことから当世第一の使い手へと成長していき、金世遺のもう一人の弟子=マサア国王の三人の遺児の一人・唐努珠穆らを助けていくのです。
ここでは、江海天の成長が物語りの大きな軸になっています。さらに、『 雲海玉弓縁』では結ばれなかった金世遺と谷之華が結ばれ、また江海天と谷中蓮などをはじめとして登場してきた若者達がみなうまく結ばれてハッピーエンドとなります。このあたりも金庸の『笑傲江湖』とかなり趣が似ているといえるのではないでしょうか。
なお、『 雲海玉弓縁』は中国語で約70万字、『冰河洗剣録』は約75万字で、それぞれ単行本2冊なので、かなり長編といえるでしょう。このぐらいが、物語の展開としてもちょうど書きやすく、また読者にとっても読みやすい長さかもしれません。ちなみに、梁羽生の小説でただひとつ邦訳されている『七剣下天山』(文庫本で2冊)は、約44万字だそうです。
江海天は金世遺の弟子となり、さらには偶然にも天心石を3個も飲んだことから当世第一の使い手へと成長していき、金世遺のもう一人の弟子=マサア国王の三人の遺児の一人・唐努珠穆らを助けていくのです。
ここでは、江海天の成長が物語りの大きな軸になっています。さらに、『 雲海玉弓縁』では結ばれなかった金世遺と谷之華が結ばれ、また江海天と谷中蓮などをはじめとして登場してきた若者達がみなうまく結ばれてハッピーエンドとなります。このあたりも金庸の『笑傲江湖』とかなり趣が似ているといえるのではないでしょうか。
なお、『 雲海玉弓縁』は中国語で約70万字、『冰河洗剣録』は約75万字で、それぞれ単行本2冊なので、かなり長編といえるでしょう。このぐらいが、物語の展開としてもちょうど書きやすく、また読者にとっても読みやすい長さかもしれません。ちなみに、梁羽生の小説でただひとつ邦訳されている『七剣下天山』(文庫本で2冊)は、約44万字だそうです。
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