フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、『武当一剣』は、清代に時代区分されていて、天山系列の最後の方に区分されていたので、天山系列の一部か続きかと思ってよんでみたら、まったく違っていました。まず、作品の時代背景は、明代です。また内容的にも、天山系列とはなんの関連もありません。作品にでてくる「武当派」自体も、『白髪魔女伝』からはじまった天山系列に登場してくる「武当派」とはまったく異なって、ここでは張豊三から始まる太極拳・太極剣の「武当派」になっています。この作品が発表されたのが1980年~83年ですから、「武当派」については金庸の作品に完全に影響されてしまっていると言えるでしょう。金庸の『神雕侠侶』や『倚天屠龍記』を読むと、張豊三の「武当派」についてはよくわかります。
さて、内容ですが、陰謀渦巻く「武当派」への攻撃とそれに対する一種の謎解きという構図で、読者を引き込んでいこうという作者の意図は理解できるのですが、読み終わってみると、「竜頭蛇尾」というかまた男女のあいだの痴話騒ぎかといささか食傷気味の感が否めません。
これが、梁羽生の最後の武侠小説だそうですが、ここまでくると「金庸にかなり引き離されたな」というのが正直な感想です。
2009年3月25日水曜日
幻剣霊旗
これは単独の一編というより『剣網塵絲』 とあわせた作品の後編といった方がいいかと思います。
この作品は天山系列のなかにあるといっても、登場人物は白駝山主・宇文博の妾だった穆欣欣と宇文博の甥で現白駝山主の宇文雷ぐらいが前の作品から継続して登場してくるだけで、天山派などの面々はまったく登場してきません。
また、内容的にも武侠小説というより、男女のあいだの微妙な感情の交錯を描くことに重きが置かれているようで、どちらかというと恋愛小説といった方がピッタリのような気がします。三角関係、四角関係でこんがらがった糸をときほどいていく過程が、一種の謎解き的に展開されており、いままでの天山系列の作品とはやや趣が違っているような印象を受けました。
なお、この「幻剣霊旗」は、作品のなかの「昆仑山上,幻剑灵旗。不服灵旗,幻剑诛之。」にもあるように、西域十三家の盟主である上官家の幻剑灵旗(幻剣霊旗)からきています。
この作品は天山系列のなかにあるといっても、登場人物は白駝山主・宇文博の妾だった穆欣欣と宇文博の甥で現白駝山主の宇文雷ぐらいが前の作品から継続して登場してくるだけで、天山派などの面々はまったく登場してきません。
また、内容的にも武侠小説というより、男女のあいだの微妙な感情の交錯を描くことに重きが置かれているようで、どちらかというと恋愛小説といった方がピッタリのような気がします。三角関係、四角関係でこんがらがった糸をときほどいていく過程が、一種の謎解き的に展開されており、いままでの天山系列の作品とはやや趣が違っているような印象を受けました。
なお、この「幻剣霊旗」は、作品のなかの「昆仑山上,幻剑灵旗。不服灵旗,幻剑诛之。」にもあるように、西域十三家の盟主である上官家の幻剑灵旗(幻剣霊旗)からきています。
2009年3月7日土曜日
剣網塵絲
さて、楊炎と彼をとりまく女性達のその後はどうなったのだろうかと、続編とされている『剣網塵絲』を読んでみましたが、ここではいままで『絶塞伝烽録』にでてきた登場人物は誰ひとりとしてでてきません。
『絶塞伝烽録』の巻末にある「请续看《剑网尘丝》(『剣網塵絲』を続いてお読み下さい)」というのはいったいなんだろうかと失望と疑問を感じざるを得ません。ただ、「天山派の掌門・楊炎」という記述があるのが、唯一の消息で、それで満足する以外にはなさそうです。
それはさておき、この作品はいままでとはすこし違った印象をうけました。ストーリー展開が推理小説的に語られている点が、やや趣を異にしている様な気がしました。またいままでの天山系列にあったように、清朝廷との闘いが前面にだされるというより、闘いの構図が個人的な恩讐の次元にとどまっている側面もあり、こうした点は梁羽生があらたな技巧的試みをおこなっているようにも感じました。
『剣網塵絲』は、物語がそれだけでは完結しません。『幻剣霊旗』に引き継がれそこで物語は完結します。
『絶塞伝烽録』の巻末にある「请续看《剑网尘丝》(『剣網塵絲』を続いてお読み下さい)」というのはいったいなんだろうかと失望と疑問を感じざるを得ません。ただ、「天山派の掌門・楊炎」という記述があるのが、唯一の消息で、それで満足する以外にはなさそうです。
それはさておき、この作品はいままでとはすこし違った印象をうけました。ストーリー展開が推理小説的に語られている点が、やや趣を異にしている様な気がしました。またいままでの天山系列にあったように、清朝廷との闘いが前面にだされるというより、闘いの構図が個人的な恩讐の次元にとどまっている側面もあり、こうした点は梁羽生があらたな技巧的試みをおこなっているようにも感じました。
『剣網塵絲』は、物語がそれだけでは完結しません。『幻剣霊旗』に引き継がれそこで物語は完結します。
2009年1月25日日曜日
絶塞伝烽録
この『絶塞伝烽録』では、いよいよ楊炎の濡れ衣がはらされていきます。
また、回彊への侵略をつよめる清軍は、反政府の義士と各部族の連合によって打ち破られ、楊炎の実父の楊牧は己の最後が長くはないことを悟って、自らの命を犠牲にして楊炎を助けるのでした。
天山派へ奇襲をかけた邪派の白駝山主・宇文博は齊世杰や楊炎によってたおされ、宇文博にとらわれの身となっていた冷冰儿も救い出されたのでしたが、その彼女はすでに尼になる決意をしていたのでした。
さて、楊炎は龍霊珠をつれて龍則霊のもとに帰ったのですが、龍則霊の寿命が尽きるまえの遺言として龍霊珠の一生を託されるのでした‥・・。
また、回彊への侵略をつよめる清軍は、反政府の義士と各部族の連合によって打ち破られ、楊炎の実父の楊牧は己の最後が長くはないことを悟って、自らの命を犠牲にして楊炎を助けるのでした。
天山派へ奇襲をかけた邪派の白駝山主・宇文博は齊世杰や楊炎によってたおされ、宇文博にとらわれの身となっていた冷冰儿も救い出されたのでしたが、その彼女はすでに尼になる決意をしていたのでした。
さて、楊炎は龍霊珠をつれて龍則霊のもとに帰ったのですが、龍則霊の寿命が尽きるまえの遺言として龍霊珠の一生を託されるのでした‥・・。
弾指驚雷 (2)
物語の後半は、楊炎に焦点があてられて話がすすんでいきます。
楊炎は、チベットまで拉致されてきたこころで、龍則霊に助けられ彼の弟子となって成長していたのであった。しかし中原に戻ってきた楊炎は、冷氷儿と再開するが、誤解と行き違いから天山派から追われる身になってしまうのである。
また、実の父・楊牧が朝廷の手先となっていたことも、彼に屈折した陰を落としていく。さらに、龍則霊の孫娘である龍霊珠との出会いも冷氷儿との間で、複雑な恋愛感情をかもしだしていくことになる。
ともあれ、『弾指驚雷』では、楊炎がこれでもかこれでもかといった具合に、すれ違いと誤解から、奈落の底へと落とされていってしまうのだ。
こうした楊炎にたいして、養父である繆長風、雲紫蘿の子供であるがゆえに楊炎を自分の子とする孟元超、そして弟として楊炎をかばう冷氷儿の三人は、あくまでも彼の味方であるのだが…。
楊炎は、チベットまで拉致されてきたこころで、龍則霊に助けられ彼の弟子となって成長していたのであった。しかし中原に戻ってきた楊炎は、冷氷儿と再開するが、誤解と行き違いから天山派から追われる身になってしまうのである。
また、実の父・楊牧が朝廷の手先となっていたことも、彼に屈折した陰を落としていく。さらに、龍則霊の孫娘である龍霊珠との出会いも冷氷儿との間で、複雑な恋愛感情をかもしだしていくことになる。
ともあれ、『弾指驚雷』では、楊炎がこれでもかこれでもかといった具合に、すれ違いと誤解から、奈落の底へと落とされていってしまうのだ。
こうした楊炎にたいして、養父である繆長風、雲紫蘿の子供であるがゆえに楊炎を自分の子とする孟元超、そして弟として楊炎をかばう冷氷儿の三人は、あくまでも彼の味方であるのだが…。
2009年1月10日土曜日
2008年12月28日日曜日
牧野流星
『游剣江湖』の続編の『牧野流星』は、前者と同じくらいの長編ですが、内容はうって変わって本来の武侠小説らしくなってきて、一挙に読ませるものがあります。 『江湖三女侠』のときも感じたのですが、梁羽生は悲恋ものに力を入れるとどうもそちらに足をすくわれ、武侠小説としての物語展開や内容にやや乱れがでるような気がします。
この『牧野流星』の主人公は、『游剣江湖』の二人の主人公である孟元超と雲紫蘿の息子・楊華=孟華です。物語は、楊華が三番目の師父・丹丘生から崆峒派の武芸を伝授され、さらには天山派の開祖ともいえる張丹楓の秘伝書を偶然発見し、さらには二番目の師父・段仇世から孟家の「快刀法」の秘伝書を渡され、それらの武術を身につけとてつもなく腕が立つ青年に生長していく過程が最大のみどころとなります。
さらには、金逐流の娘・金碧漪との出会と恋、実の父孟元超との対面、丹丘生の冤罪を晴らし御林軍統領・海蘭察の野望を打ち砕き彼を打倒するなど、物語の展開も手に汗を握るテンポで進んでいきます。
そして最後は回疆の各部族と反清の義士たちの連合で、清の大軍とのたたかいに勝利するところで物語は終わるのですが、この戦いのなかで孟華の異父弟の楊炎が行方不明になってしまい物語は次の『弾指驚雷』へと引き継がれていきます。
(注) 日本語では表記できない字は、しかたなく簡体字で表示してあります。「崆峒派」、「金碧漪」などです。
この『牧野流星』の主人公は、『游剣江湖』の二人の主人公である孟元超と雲紫蘿の息子・楊華=孟華です。物語は、楊華が三番目の師父・丹丘生から崆峒派の武芸を伝授され、さらには天山派の開祖ともいえる張丹楓の秘伝書を偶然発見し、さらには二番目の師父・段仇世から孟家の「快刀法」の秘伝書を渡され、それらの武術を身につけとてつもなく腕が立つ青年に生長していく過程が最大のみどころとなります。
さらには、金逐流の娘・金碧漪との出会と恋、実の父孟元超との対面、丹丘生の冤罪を晴らし御林軍統領・海蘭察の野望を打ち砕き彼を打倒するなど、物語の展開も手に汗を握るテンポで進んでいきます。
そして最後は回疆の各部族と反清の義士たちの連合で、清の大軍とのたたかいに勝利するところで物語は終わるのですが、この戦いのなかで孟華の異父弟の楊炎が行方不明になってしまい物語は次の『弾指驚雷』へと引き継がれていきます。
(注) 日本語では表記できない字は、しかたなく簡体字で表示してあります。「崆峒派」、「金碧漪」などです。
2008年12月7日日曜日
游剣江湖
結論から言うと、この作品は長い割にはあまり面白くありません。武侠小説というより悲恋小説といった方がぴったりで、天山派の活躍を期待している読者にとっては、まったくの期待はずれといわなければなりません。しかも、同じような顔ぶれの登場人物が「あっちで小競り合い、こっちで小競り合い」といった感じで、ストーリー展開上も面白さがありません。
『雲海玉弓縁』、『冰河洗剣録』、『風雷震九州』、『侠骨丹心』と続いてきた作品群がかなりよっかたので、これも楽しめるかなと思ったのですが残念でたまりません。
というわけで、単行本3冊、99万字におよぶこの長編については、これ以上の論評はいたしません。
『雲海玉弓縁』、『冰河洗剣録』、『風雷震九州』、『侠骨丹心』と続いてきた作品群がかなりよっかたので、これも楽しめるかなと思ったのですが残念でたまりません。
というわけで、単行本3冊、99万字におよぶこの長編については、これ以上の論評はいたしません。
2008年10月26日日曜日
余談 『神田川』
YouTubeで、『かぐや姫』の『神田川』を聞いていたら、そこにおもしろい書き込みがありました。『神田川』の歌詞を中国語に訳してあって、その訳がなかなかいいのです。繁体字で書いてあったのですが、ここでは簡体字でそれを紹介したいと思います。中国語フォントがインストールされていれば、文字化けしないで表示されると思います。
神田川
神田川
你已经忘了吧? 我俩把鲜红的手巾围在脖子上,一块去那小巷里的澡堂。
说好一起出来的,可是每次总是我在外面等。
湿漉漉的冰凉冰凉,一小块的肥皂和我一起打着冷颤,你抱着我,说了句:真凉呀。
在我年轻的时侯,根本不知道什么是恐惧。那时候,我只怕你的温柔。
那套二十四色的水彩,你大概已经丢了把? 你要替我画像,我总是叮咛你务必画的好一点,可是每次都不像我。
窗外流淌的是静静的神田川。狭窄的屋子是我小小的天地。
你的眼睛停留在我的指头,你问道:你不高兴吗?
在我年轻的时侯,根本不知道什么是恐惧。那时候,我只怕你的温柔。
2008年10月24日金曜日
侠骨丹心 (2)
『侠骨丹心』のあらすじを、引き続き紹介していくつもりだったのですが、現在『游剣江湖』を読んでいて、『侠骨丹心』のあらすじの紹介はいつになるかわかりません。
『游剣江湖』は、単行本3冊ですから、かなり長編です。 これは余談ですが、中国語を日本語に翻訳すると、分量は1.5倍以上になると思います。「国連決議などを国連の公用語で表示したとき、中国語がいちばん分量が少ない」という様なことを中国人の先生から聞いたことを思い出しました。
したがって、『游剣江湖』を邦訳すれば、たぶん単行本5冊くらいになると思います。そのぶん、中国語は簡潔に表現されていて、武侠小説に最適なのかなあなどとも考えています。
『游剣江湖』は、単行本3冊ですから、かなり長編です。 これは余談ですが、中国語を日本語に翻訳すると、分量は1.5倍以上になると思います。「国連決議などを国連の公用語で表示したとき、中国語がいちばん分量が少ない」という様なことを中国人の先生から聞いたことを思い出しました。
したがって、『游剣江湖』を邦訳すれば、たぶん単行本5冊くらいになると思います。そのぶん、中国語は簡潔に表現されていて、武侠小説に最適なのかなあなどとも考えています。
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