2008年9月5日金曜日

侠骨丹心 (1)

 物語は、「侠骨丹心」へと引き継がれていきます。
この「侠骨丹心」は、最初から波乱にみちた展開となっています。まず、金世遺の息子・金逐流が登場して、華々しい活躍をします。この小説は、冒頭からかなり引きずり込まれました。

 江海天の娘・江曉芙と「掌門弟子」・宇文雄との結婚披露宴に紛れ込んで、師父の仇・江海天に一泡吹かせようとたくらむ文道庄と、薄汚い乞食をよそおいこの宴席にもぐりこんだ金逐流が、まっこうから激突する。文道庄の必殺の手から江曉芙を密かに守った金逐流は、江海天に一泡ふかせもって中原にその武功をとどろかせ、師父の恨みを晴らして、さらには朝廷に高く自分を売り込もうとする文道庄を、激闘のすえ破るのであった。
 この闘いを目の当たりにして、江海天は金逐流が金世遺の息子であり自分の師弟にあたることを見抜き、同時に文道庄の正体も看破するのであった。じつは、金逐流は、父・金世遺の言付けを持って江海天のもとを訪れたのである。

 <中国武侠小説豆知識> 日本の時代小説では、権力の手先のことを「犬」といいますが(例えば、「幕府の犬」と言うように)、中国武侠小説では「鷹犬」といいます。発音は、ying1quan3 です。この小説でも「鷹犬」は何度もでてきます。