2009年1月25日日曜日

絶塞伝烽録

 この『絶塞伝烽録』では、いよいよ楊炎の濡れ衣がはらされていきます。
また、回彊への侵略をつよめる清軍は、反政府の義士と各部族の連合によって打ち破られ、楊炎の実父の楊牧は己の最後が長くはないことを悟って、自らの命を犠牲にして楊炎を助けるのでした。
 天山派へ奇襲をかけた邪派の白駝山主・宇文博は齊世杰や楊炎によってたおされ、宇文博にとらわれの身となっていた冷冰儿も救い出されたのでしたが、その彼女はすでに尼になる決意をしていたのでした。
 さて、楊炎は龍霊珠をつれて龍則霊のもとに帰ったのですが、龍則霊の寿命が尽きるまえの遺言として龍霊珠の一生を託されるのでした‥・・。

弾指驚雷 (2)

 物語の後半は、楊炎に焦点があてられて話がすすんでいきます。

 楊炎は、チベットまで拉致されてきたこころで、龍則霊に助けられ彼の弟子となって成長していたのであった。しかし中原に戻ってきた楊炎は、冷氷儿と再開するが、誤解と行き違いから天山派から追われる身になってしまうのである。
 また、実の父・楊牧が朝廷の手先となっていたことも、彼に屈折した陰を落としていく。さらに、龍則霊の孫娘である龍霊珠との出会いも冷氷儿との間で、複雑な恋愛感情をかもしだしていくことになる。
 ともあれ、『弾指驚雷』では、楊炎がこれでもかこれでもかといった具合に、すれ違いと誤解から、奈落の底へと落とされていってしまうのだ。
 こうした楊炎にたいして、養父である繆長風、雲紫蘿の子供であるがゆえに楊炎を自分の子とする孟元超、そして弟として楊炎をかばう冷氷儿の三人は、あくまでも彼の味方であるのだが…。

2009年1月10日土曜日

弾指驚雷 (1)

 雲紫蘿のもう一人の息子・楊炎のその後に焦点をあてて、物語は『弾指驚雷』へと続いていきます。

 しかし、物語の最初は楊炎の行方を捜し続ける二人から始る。ひとりは楊炎の従兄弟にあたる齊世杰、もうひとりは天山でともに修行し楊炎が姉と慕う冷冰儿。チベットの魔鬼城で冷冰儿に助けられた齊世杰は、偶然にも桂華生と華玉がつくりあげた「冰川剣法」の秘伝を学ぶとともにインドの内功を授けられ、当世屈指の使い手になっていく。そして、冷冰儿の面影を忘れられない齊世杰は、楊炎と冷冰儿を探し求めて旅を続けるのだが…。