2010年9月5日日曜日

女帝奇英伝

 女帝とは、唐の高宗の皇后で、中国史上唯一の女帝となり、武周朝をうち立てた武則天のことです。といっても、私はこの小説を読むまでは、武則天などという名前は聞いたことがありませんでしたし、ましてや唐の時代に女帝がいたということも知りませんでした。したがって、「中国三大悪女の一人」に数えられていると聞いても、歴史的評価が正しいのかどうかも判断がつきません。
 それ故に、ここで描かれている武則天が歴史的史実に基づいたものなのかどうかもわかりません。また、武則天に仕えた上官婉児が登場してきますが、この小説のなかに描かれている人物像と歴史上の人物像とが合致するものなのかどうかもわかりません。
 ともあれ、歴史上実在した人物と架空の人物がからみあって、悲恋の武侠小説が展開されていくのですが、物語の内容についてはいつものおきまりのパターンなので、とりたててここでふれる必要は無いでしょう。
 私にとって、武則天と上官婉児という歴史上実在した二人の女性について、この小説をとおして知ることができたのが最大の獲得だったと思います。