2010年6月14日月曜日

龍鳳宝釵縁

 『大唐游侠伝』の続編は『龍鳳宝釵縁』です。ここの主人公は段珪璋の息子の段克邪と史逸如の娘の史若梅です。同じ日に生まれ、親同士が結婚させることを約束しあった二人ですが、動乱の時代において果たしてそううまくはいくでしょうか?
 婚約の証として一対の釵(かんざし)をそれぞれの子供に持たせることにした親たちですが…。そして、その釵(かんざし)にはそれぞれ龍と鳳があしらわれていて、この物語の題名『龍鳳宝釵縁』の由来にもなっているのです。
 陰謀と誤解とすれ違い、いろいろな波瀾万丈な出来事があったけれど、結局ふたりはめでたく結ばれます。その具体的内容は、原作を読んでもらえればわかります。ここでは、とくに印象に残った一人の登場人物について触れておきます。それは、「安史の乱」の指導者である史思明の娘として登場している史朝英です。この史朝英の性格や位置づけが金庸の『天竜八部』の阿紫にかなり似通ったところがあるような気がして、「武侠小説にはこういったキャラクターが必要なのかなあ」と強い印象を受けました。私にとって、阿紫や史朝英のような登場人物はどうしても好きにはなれません。でも、創作となるとこういった人物を配置する必要があるのかもしれません。