2010年3月18日木曜日

鳴鏑風雲録

 この『鳴鏑風雲録』は、単行本で4冊、140万華字ですから、『狂侠天驕魔女』とともに梁羽生の小説のなかでも最も長い部類に入ります。題名の「鳴鏑」 (ming1di1) とは、「かぶら矢」のことですが、作品を読み終わっても、内容とかぶら矢がどう結びつくのかよくわかりません。まあ、かぶら矢がブンブン鳴り渡るように、戦いもあちらこちらでけたたましく繰り広げられるとでも思って頂ければいいでしょう。
 さて物語の内容ですが、最初は、江湖から身を隠し洛陽に隠棲する高手・韓大維の娘韓佩瑛が虎威镖局に守られて許嫁の谷嘯風がいる揚州へむかうところから始まり、谷嘯風に別の結婚を約束した相手がいて、話がこのあたりを長々と語られていくので武侠小説というか恋愛小説というかちょっととまどうところがあるのですが、そこを我慢して読み進めていくと少しずつ話が面白くなっていきます。
 この小説には、何人もの少年少女が登場してきて、しかもそれぞれが高名な使い手の弟子であったり子供であったりして、彼らが誤解や行き違いを乗り越えて戦いのなかでカップルになっていく過程が一番の見所であると言えるでしょう。
 ところで、主人公は誰かと考えたら、やはり公孫璞でしょう。それは、前作の『狂侠天驕魔女』から約束されていたことなのですが、それにしても強い。
 物語の内容については、登場人物も多く、到底ここでは書き切れません。どうしても知りたい人はやはり原作に挑戦して頂くしかないでしょう。