2010年1月1日金曜日

武林天驕

 天山系列に関する作品は一通り読み終わったので、時代を遡って金、南宋時代へ行くことにしました。
しかし、この時代になると中国の歴史的知識がほとんど皆無なので、具体的イメージがわいてきません。
 物語は、南宋と金の境目にあたる山の中、名を隠して隠棲している家族からはじまります。この家族は、まさに運命のいたずらとも言える奇妙な結びつきでできあがっていたのでした。夫・檀道成とその父檀公直は金の皇帝につながる一族で、檀公直は皇帝が南宋にたいして侵略政策をとることに反対し、その位を投げ捨て息子をつれて山中に隠遁していたのでした。その隣に住んで、檀道成と結婚した張雪波は実は金と戦っていたが秦檜の手にかかって謀殺された岳飛の孫娘にあたり秦檜らの追及の手から逃れるために山中に潜んでいたのでした。
 こうして、互いの素性を知らぬままに夫婦になった二人には、金と南宋の両方から追及の手が伸びるという運命の悲劇が待ち受けていたのです。
 そして物語は、二人の間の息子・檀羽沖が追及の手からのがれて、遼の皇帝の末裔にあたる耶律玄元の弟子となって成長していく過程が描かれて行くのです。