2010年5月20日木曜日

大唐游侠伝

 梁羽生の作品も、いよいよ唐の時代に遡っていきます。この『大唐游侠伝』の舞台は、主に「安史の乱」の前後の唐です。恥ずかしいことに、私はこの作品を読むまでは、「安史の乱」という歴史上の出来事を知りませんでした。ですから、玄宗皇帝に反旗を翻して大燕国をうちたてた安禄山(聖武皇帝)などという歴史上の人物もはじめて知ったわけです。
 物語は、安禄山の復讐の手から逃れるために隠れ住んでいた段珪璋が、ふとしたことから安禄山に気づかれ、彼の無二の親友である史逸如が間違われて捕らえられてしまうところから始まります。この事件の前に、段珪璋と史逸如にそれぞれ男の子と女の子が生まれ、許嫁として将来結婚させることを誓いあうのですが、その子供たちの話はつぎの『龍鳳宝釵縁』で詳しく語られていきます。
 「安史の乱」の動乱のなかで、闘いと恋の物語が紡がれていく…『大唐游侠伝』をひと言で紹介すればこう言えると思います。