2009年12月3日木曜日

広陵剣

 この『広陵剣』という題名は、琴(古琴)の曲『広陵散』からきています。この物語では、すでに失われてしまった幻の名曲で、この物語の主人公である陳石星が祖父から受け継いで弾けることになっているのですが、ネットで検索すると『広陵散』を今も聞くことができます。この『広陵散』は、金庸の『笑傲江湖』のなかにもでてきて、「もはや失われてしっまた美しいもの」のたとえととして使われているようです。昔の曲と現在のものとでは同じかどうか解りませんが、そのあたりに関して興味をお持ちの方は、ネットで検索してみてください。

 さて、この物語の主人公は陳石星と雲重の孫である雲瑚です。雲瑚の父・雲浩が謀殺されるのを目撃した陳石星が息を引き取る間際の雲浩の頼みで張丹楓のもとに行き、張丹楓の「関門弟子」として秘伝書と張丹楓夫婦が使っていた宝刀を授けられるのでした…。

 ところで、この物語も前作などからみれば、かなり不整合性が目立ちます。張丹楓は60歳前後で死んだはずが70数歳まで生きていたり、霍天都が張丹楓の弟子になっていたりで、このあたりはかなり雑です。それに、結末も力尽きて書き流したような印象を受けました。
 
 ネットなどで見ていると、この続編に『武林三絶』というのがあるらしいのですが、全集には収録されていません。この続きを読みたいのですが、がっかりです。