2009年11月4日水曜日

散花女侠

 この「散花女侠」とは、于謙の娘・于承珠のことです。そして、この物語の主人公は、于承珠です。于謙は、歴史上実在の人物で、明朝廷の重臣です。詳しいことはこちらをご覧ください。「土木の変」で明王朝を守った経緯などは前作の『萍踪侠影録』に描かれていますが、その忠臣も政変のなかで処刑されてしまい、于承珠は張丹楓・雲蕾夫婦の弟子として育てられ、義軍=反政府軍と明朝廷軍の戦いの中でおおきく成長していくのでした。
 この物語は、朝廷軍との戦いの中で武術の腕を上げていく過程とともに、于承珠の女性としての成長する姿が描かれていますが、『萍踪侠影録』とともに物語のテンポもよく、とてもおもしろいです。
 またこの中で、霍天都が登場してきて、張丹楓の指導のもと一派の創設者たる武術のたかみを会得していく過程も描かれ、天山派の開祖としての姿が示されていきます。