2010年4月12日月曜日

瀚海雄風

 題名の『瀚海雄風』は日本語では「かんかいゆうふう」とでも読めばいいのでしょうか。中国語で瀚海 (han4hai3) とは、大砂漠のことです。「大砂漠に雄々しき風が吹く」となると、この小説の中身もかなり推測できるのではないでしょうか?
 時代は、『鳴鏑風雲録』よりすこし前で、南宋、金、西夏、そして蒙古が入り乱れているあたりです。物語は、蒙古に徴用されて音信不通の父を捜しに大砂漠を越えて蒙古へ向かう李思南をめぐって始まります。しかし、物語の後半は金の国師でありながら蒙古にも内通している陽天雷を「清理門戸」する闘いに焦点が絞られていきます。
 そして、おきまりのパターンとして、若い幾組かのカップルの間の行き違い、すれ違いの果ての恋の成就が連綿と描かれていきます。ここまで数十冊も梁羽生の武侠小説を読んでくると、だいたいパターンも読めてきます。それにしても、広大な中国で、偶然にしては都合よくばったり出くわす機会があまりにも多いですなあ!