2009年3月7日土曜日

剣網塵絲

 さて、楊炎と彼をとりまく女性達のその後はどうなったのだろうかと、続編とされている『剣網塵絲』を読んでみましたが、ここではいままで『絶塞伝烽録』にでてきた登場人物は誰ひとりとしてでてきません。
 『絶塞伝烽録』の巻末にある「请续看《剑网尘丝》(『剣網塵絲』を続いてお読み下さい)」というのはいったいなんだろうかと失望と疑問を感じざるを得ません。ただ、「天山派の掌門・楊炎」という記述があるのが、唯一の消息で、それで満足する以外にはなさそうです。
 それはさておき、この作品はいままでとはすこし違った印象をうけました。ストーリー展開が推理小説的に語られている点が、やや趣を異にしている様な気がしました。またいままでの天山系列にあったように、清朝廷との闘いが前面にだされるというより、闘いの構図が個人的な恩讐の次元にとどまっている側面もあり、こうした点は梁羽生があらたな技巧的試みをおこなっているようにも感じました。
  『剣網塵絲』は、物語がそれだけでは完結しません。『幻剣霊旗』に引き継がれそこで物語は完結します。