2007年5月4日金曜日

冰魄寒光剣 (3)

 この白い塔のなかに潜り込んだ桂華生は、そこでネパールの王子がチベット各教派の分裂につけ込んでその一部と盟約を結ぼうとしているのを目撃するのであった。そして、チベット白教の二組の使者が王子の前で対立し、この王子の目論見を見破った新法王が後から派遣した使者・マイシジャナンが窮地に陥ったところを助け出したのである。
 二人は白い塔から逃げ出したのもつかの間、王子の追っ手に追いつかれ、山の上からの大石攻めで雪崩に巻き込まれようとする寸前、柔和で重厚な内功の籠もった笛の音が遠くの方から聞こえてきたのであった。この笛の音があたりに響き渡るや、「魔鬼城」の方からは警告の鐘がなり、追っ手は瞬く間に姿を消してしまったのである。