2008年8月9日土曜日

冰河洗剣録

 『 雲海玉弓縁』の続編は、『冰河洗剣録』です。ここでは、江南の息子江海天と、谷之華の養女であり弟子である谷中蓮が物語りの中心になっていきます。そこに、マサア国王の三人の遺児が絡んできて、(三人の内一人は谷中蓮ですが)、国王を殺し王位を簒奪した現国王との闘いがくりひろげられていきます。
 江海天は金世遺の弟子となり、さらには偶然にも天心石を3個も飲んだことから当世第一の使い手へと成長していき、金世遺のもう一人の弟子=マサア国王の三人の遺児の一人・唐努珠穆らを助けていくのです。
 ここでは、江海天の成長が物語りの大きな軸になっています。さらに、『 雲海玉弓縁』では結ばれなかった金世遺と谷之華が結ばれ、また江海天と谷中蓮などをはじめとして登場してきた若者達がみなうまく結ばれてハッピーエンドとなります。このあたりも金庸の『笑傲江湖』とかなり趣が似ているといえるのではないでしょうか。
 なお、『 雲海玉弓縁』は中国語で約70万字、『冰河洗剣録』は約75万字で、それぞれ単行本2冊なので、かなり長編といえるでしょう。このぐらいが、物語の展開としてもちょうど書きやすく、また読者にとっても読みやすい長さかもしれません。ちなみに、梁羽生の小説でただひとつ邦訳されている『七剣下天山』(文庫本で2冊)は、約44万字だそうです。